君は僕のもの 【続】
…樹side




泣く事は予想済みだったけど、これは俺の想像以上だったな。

ボーっと脳裏でそんなことを考えてみても、やっぱり目の前でこう…?


目に涙を溜めて、潤んだその瞳で見られると。


やっぱりコイツは可愛いな…と、不意に思っちゃうもんだよね。


「…あの、ね…?」

まだ溢れる涙を必死に堪える様にして愛梨が言う。


でも、その仕草は何処か躊躇いが感じ取れる。


「ん?」

愛梨は隣に置いてある自分の白い鞄から何やら水色の袋を取り出した。


…?

水色と薄い黄色の、まぁちょっと可愛い?感じなの?


よくは分かんないけど…

何だか“プレゼント”みたいなものに見える。


瞬間。

予感ってやつが頭の中に浮かんだ。


「あのね…、あの、ね…?」

さっきから何度も聞く愛梨の『あのね』って言葉。


結局はもういつもの愛梨に戻ってて…

袋の中身がグチャグチャになっちゃうんじゃないかってぐらい、その袋をギュゥッと愛梨は抱き締める。


「…俺に?」

俯く愛梨の顔を少しだけ覗き込み、そう問い掛ければ。


愛梨は照れ隠しなのか分からないけど…


コクン、

と大きく縦に頷いた。


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