君は僕のもの 【続】




「どうして泣くの?」

片手でその黒いマフラーを握って、その反対の手で愛梨の頬を撫でる。


雫が俺の指に吸いつく。

だけど愛梨は下唇を噛締めて泣くのを一生懸命に堪えてるみたいだった。堪えたって無駄なのに…


「だって…、
樹は…っ…こんなにいいの…くれたのに」


…あぁ、そういうことか。

どうして分からないんだろう?


コイツは、本当。


「俺は嬉しいよ、上手く出来てないこのマフラー」


もっとちゃんと出来た男なら…

違う気の利いた言葉を口に出来るんだろうな。


「…っ…」

シュンとする愛梨を見て、…やっぱりと思う。


「愛梨が頑張ってやってくれたんでしょ、

…だったら俺があげたものよりも、価値。あるんじゃないの?」


俺がそう言うと、下を向いたままだった筈の愛梨の顔が上がる。


「本当…?嫌じゃない?……幻滅、してない…?」

だんだんと小さくなるその声に、何だか無性に口元が緩んで仕方が無い。


大体、彼女がプレゼントのマフラーを上手く作れなかっただけで、嫌とか思ったり…幻滅したりする奴っているの?


…ていうか、

上手く出来なかった方が愛梨らしいよ。ね?


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