君は僕のもの 【続】
第七章 突然の襲来

リングの持ち主

…愛梨side




「ちょっとスースーするね」


小さくクスリと笑うい、あたしの手をその大きな手で握り締めてくれた。

もう片方の手でマフラーを弄り、顔の下の方を少し埋めるようにしてあたしをチラッとだけ見た。


「…やっぱり、違うの買って……プレゼントしよかな」

その隣であたしのテンションはこれでもかってくらいに下降していく。


というか、

やっぱり編目の荒いあたし作のマフラーは少しばかり風をよく通すみたいだった。


だけど樹は優しくあたしに笑みを浮かべて、


「何言ってんの?」


そしてそのマフラーに触れてた手をあたしの髪に伝わせて。

「…俺は、これがいい」

柔らかな夕暮れ時のその笑みは、本当に絵になる様な感じで…ゴクリと無為に唾を飲み込んでしまう。


「そっか」

意識しなくても自然に溢れる笑顔は心地好い。


「それで…?なに買ってけばいいわけ」

背の高い樹があたしを横から見下ろして言う。


そう。

今日はあたしの家で樹と一緒にいたんだけど…


何だか今日はお鍋をやるみたいで、その材料で足りないものがあるとか何とかで、“おつかい”を頼まれたわけで。


それで樹は帰りが暗くなるとあれだから…とか言って、面倒くさそうにも一緒に付いて来てくれた。


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