君は僕のもの 【続】
何だか本来なら女の子である筈のあたしが、こう…?
樹に『こっちだよ』とか言ってリードするのが正しいはずなんだけど、違う。
これは…間違ってる!
「こっちだから」
そう言って樹は、違う方向に進もうとしたあたしの服を掴み方向を正す。
「…あ、はいっ」
何故か敬語に変化しつつあるのは、よく分かんないけど。
無意識にも樹より先にその目的のものを探そうとするのに、
…コレがいまいち空回り。
何度も何度もお母さんと来たことがある筈のスーパーでさえも、どこに何があるのかが上手く把握出来て無いのは、
終わってる。
女の子として、これはマズい。
「あのさぁ…愛梨は考えなくていいよ」
う゛っ…
これがいつも通りの見下すようなものなら反論の行動を起こしてたけど。
きっと多分これは心からのお願いだ、ね。
「目に入ったものを買えばいいわけじゃないから、普通は値段とか賞味期限とか…見るんじゃないの?」
「は、はい…」
もしかして樹は、鍋奉行?
違うね。
だけど意外にも樹の妙な姑ちっくな部分を見て、驚き。
…その反面でちょっとだけ自分がどれだけ“家庭的”という言葉から掛離れているかを実感したり。