君は僕のもの 【続】
「もう全部?」
隣の樹にくっつきながらそう問い掛けた。
「ん」
と、短く樹は答えてレジに向かって歩を進めた。
それに付いて行くようにして隣にちょこんと居座る、けど樹はあたしの顔を見るなり。
「愛梨はトイレ行ってきな」
クスッと笑ってそう言う。
…トイレ?
「え、どうして?」
あたしは真剣に聞いてるのに樹はクスクス笑いながら、それでもとりあえず言った方がいいって言ってて。
「色気より食い気」
そう小さな言葉で言いながらあたしの背中を押す。
一体、樹は何を言ってるんだろう…?
そんな気持ちを抱えつつもトイレに向かって歩く。
うーん…
と目を少し瞑りつつも首を傾げながら。
すると、…その時だった。
─ドンッ!
「…っ!?」
考えてばっかいたせいで人にぶつかって鼻を打ってしまった。
これがまた…痛い。
「す、…すいません…っ…!!」
打った鼻を抑え目頭が熱くのを感じながらも反動的に言葉が出た。