君は僕のもの 【続】




あたしはトイレに…行きたかったのに、……何故!?


しかも考えてみればこの人、初対面にも関わらず常識全くないんじゃ…?

それに、あの訳の分からない“行為”は何?


…分からない。


「威勢の良い女は嫌いじゃない」

そう言うとあたしの手を取って指を触りだした。


「人のモノ奪うの、嫌いじゃねぇよ…?俺」

と、またもや訳の分からないことを言い出したかと思えば、


あれ…?

無い、無い!!!

パッと奴から話された手を見ると、その薬指にあった筈のリングが無くなっていた。


「か、返してっ!」

あたしは真剣に言ってるのにこの人はというと、全く聞く耳を持たないって感じ。


「アンタ、名前は?あと、学校」


「何でそんなこと…言わなきゃいけないの!」

いつもならきっと怯むけど、何かこの人ムカつくし…リング返して欲しいし、だからこそ強気気味なあたし。

ちょっと珍しい、なんて思う。


けど今はそれどころじゃなくって…っ!


「言ったら返してやるよ」

口元を三日月みたいにさせて微笑すると、
右手の人差指と親指でリングを持ちながらあたしの目の前にチラつかせる。


…ウ、ウザい……。

あたしがここまでムカッとするのって、なかなか無いから…逆にやっぱり刺々しい態度になる。


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