君は僕のもの 【続】
「へぇ~、アンタが?」
ソイツはそう言って、愛梨の髪の先を指に絡め弄る。
「…あ……っ!…ちょ、…」
とやっぱり、あたふたするのは愛梨。
俺はそのまま愛梨の側まで行くと、その細い腕を引いて自分の胸の中に納める。
困った事に片方の手にはさっき買ったものがあって、そのせいで片手しか使えないのがちょっと嫌な感じ。
「触らないで?」
俺の胸に愛梨の顔を埋めて、チラッと視線を送る様にしてそう言う。
例え髪の毛一本でも服の一部でも。
それですら愛梨のものを他の男が触るなんて許せない。ていうか、許さない。
「…樹、」
胸の中で俺を見上げて、シュンとしながら言った。
……だったら、…こんな男に引っ掛かるなよ、本当に。
「この人、誰?」
愛梨の目をジッと見て言う。
すると愛梨は少しバツの悪そうな表情をすると、さっきぶつかっちゃって…としどろもどろにそう言った。
ぶつかったって……
またかよ。
確かコイツ、夏祭りの時もそんな出逢い方してなかった?
佐藤とかいうあのふざけた男。
それで今回も同じような性質の悪そうな男。
何か、嫌な予感ばかりを漂わせる、そんな男。