君は僕のもの 【続】
…樹side



面倒な文化祭のコンテストも終わって。

また普通に毎日を過ごせるかと思いきや、またもや問題が生じている。


大体何でいつも俺がこんな目に合わなきゃなんないのかは…本当に俺自身も疑問だしよく分からない。



そして11月に入りかかったばかりの頃。


俺は愛梨に『一緒に帰れない』と言ったわけで。

本当はずっと一緒には帰れなかったんだけど…そんな一気に言うとアイツが妙な気でも起こすんじゃないかとか色々考えて、結局は毎日毎日断る羽目になった。


考えてみればこういうことになる前にもう少し前からちゃんと考えをしておくべきだった。



愛梨の扱いは簡単そうに見えて意外に手こずる時がある。


簡単に言えば…

数学とか英語とか、そんなもんのが覚えりゃいいだけだから簡単かも。



そして今回は本当。

さすがの俺も色々困ってたりする。





「本当、危なかったんだけどー!!」

隣で胸に手を当てたまま目を見開いて何かを俺に訴えようとする奴が一人いる、


「…あ、ごめん」

適当にそう口にしといて中庭のベンチに腰かける。
続いて翔太も座ろうとしたから『座るな』と一言だけ言うと翔太は不服そうにもベンチに寄り掛かって立つ形になった。


男二人でこんなベンチに座るなんて…

気色悪くてたまったもんじゃない。


「で、どうすんのよ、愛ちゃん」


…どうする?

どうすることも出来ないし、つかどうにも出来ないだろ。


今日の朝だってそうだ。

愛梨があのムカつく男と楽しそうに話してるのを見て、あんな態度を取るくらいの男だし…俺は。


心だって広くないし。

つか…愛梨のことになると、どうも。


でもそんなこと。愛梨は知らないし…鈍感だから本当、アイツは。

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