君は僕のもの 【続】
「来なよ」
涙をたくさん零す愛梨に俺はそう言う。
そのまま細く、決して逞しいとは言えない腕を引いて歩き出す。
「おじゃまします」
そう言ってから、愛梨の手からソレを取ると…そのままリビングへ向かいテーブルの上に置いておく。
「…あっ!いっちゃん、ありがと~ねっ」
この緩さも相変わらず。
「いや、大丈夫です」
そしてこの時だけの完璧な俺の笑顔は、俺自身も怖いくらいだったいりする。
「愛梨は…?また、何か駄々こねてるの?もしかして」
と言ってるわりには楽しそうに笑いながら、
『まったくあの子は~』とか言って手を何度も何度も連続して叩きまくる。
…分からない。
俺にはいまいち、分からない。
「まぁ、そんな感じです」
ちょっと違うんだけどね、…面倒臭いし、いちいち言うのは。
「じゃぁ、よろしくね?もう本当いっちゃんが居てくれて良かったぁ~!」
と、また楽しそうに笑いながら、俺らが買って来たものを持って台所の方へ歩いて行く。
これだから本当に、あんなのが生まれるんだろう、うん。
そのままリビングから出て行くと、階段にシュンとした子犬みたいになって座ってる、奴が約一名いる。