君は僕のもの 【続】
それから少しして、何週間ぶりに見るこのヤル気の無い担任が、スリッパをパカパカさせながら教室の中に入ってきた。
いつ見てもその担任のヤル気の無さと言うか適当さ?
そういうのがジワジワと滲み出てるのが…やっぱり何とも言えなくて生理的に受け付けられない。
「は〜い、…明けましておめでとう」
そう言って名簿みたいなのをバンッと教卓の上に置いた。
「…まぁ、知ってる奴もいるだろうけど…まぁ、転校生ね」
何とも教師とは言えない感じの言い草。
っていうか……転校生ってあたし達のクラスだったんだ!!
そう思ってチラッと美菜の方を見てみると、嬉しそうに美菜がピースサインをあたしに送ってきて、それを見た翔太くんが少し不貞腐れる。
「なにあれ!?なになにっ!?!?」
美菜を見てから、あたしの方を振り返ってそう言う翔太くん。
若干いつもよりは機嫌が悪いみたい…?
「…さ、さぁ?」
“目の保養なんだって!”
だなんて…言えるわけが無い。
もしそうあたしが言ったら、『俺がいるじゃん!』みたいな答えが返ってきそうな気がする……
はぁ…、
「どうかキモい奴でありますように!」
と今度は拝むように手の平を合わせる翔太くん。
…違うと思うんだけど、なぁ……。
そう思いつつ少し後ろを振り返って樹をチラッと見てみる、…けど樹は腕を前で組んで、少し身体を傾けていた。
あ、寝てる…
それだけで顔が綻んで、ちょっと可愛いな…なんて思っちゃう。
「…あー、“白井”入ってこ〜い」
その担任の声で、あたしも身体の向きを戻した。