君は僕のもの 【続】
でもさ?…いくらなんでもそんなに不機嫌そうな顔しなくてもいいのに。
だって、困るのはあたしだよ?
…指輪だって、取られちゃったし……
っん!?
ハッとしたようにあたしは口元を手の平で覆う。
「あ、あぁぁーっ!!」
急に奇声を発したあたしを皆が不思議そうに見る。
「どうした!?」
驚いた様子の翔太くんがあたしを見て、そう言った。
そうだ…あたしは最も重要なことを忘れたたんだっ!
大体、もう二度と会うことなんて無いって思ってた相手に、大事な大事な指輪を取られちゃって、
けそそのもう二度と会う筈なかった相手が、こうして近くにいるなら…
やること、目的は一つでしょ!
「ごめん!…ちょっとあたし行ってくる!」
とりあえずそう口にして、皆の反応を見ることも無く背を向けて走っていく。
後ろから聞こえる美菜と翔太くんのあたしを呼ぶ声に、少し振り向きそうになりながらもそのまま走る。
指輪…
返してもらわなきゃ、絶対に絶対に…絶対!!
そのまま屋上のドアを突っ切って、急ぎ足で階段を下りて行く。