君は僕のもの 【続】




我ながら大人気ない。

けど仕方ないだろ、
だって愛梨がしこいんだから。



「…アイツは何?」

きっとこのまま愛梨が話し出すのを期待して待っていても、
俺の今までの実体験から考えてみると確実に口を開かずシュンとするのがオチ。


だからそういう時は先に俺が何かを言った方がいい。


確実に。




「アイツ…?あ、もしかして…英二先輩のこと?」


うん。そう。

…なんて口にもしたくないから、コクンと縦に小さく頷く。


すると愛梨はハッとしたように急に目を見開く。…何かを思い出したらしい。


何だよ今度は。

「…あ、あたし今日どうしよう、」


そう言いながら、自分の携帯と俺を交互に見る。



…だから何?


と、募る苛々感を抑えつつも冷静な自分を忘れない。


「何が」

チラリとだけ愛梨の顔を見て俺はそう言うとコーヒー牛乳を一口。


あ、美味い。



心の中で思う。


「そ…その、」


しどろもどろになる愛梨を見て、これは何か有るなという考えが浮かぶ。



佐藤、英二か…

やっぱり自分は凄いと思う。ていうかかなり凄い。



凄いよりもちょっと凄い。


朝のあの感じから見て考えると…あの男と愛梨は今日、何か約束があったんだろうな。


俺の想像っていうか…思い付くこと。

多分、俺のことを相談するとかしないとかまぁそこら辺だろうと、思われる。



弱味にジワジワ噛み付いてくるような犬は消えてろ。


…って、

ここで一人。盛り上がって感情的になっても仕方ない。


「佐藤」


俺が言った言葉にビクッと反応して、シラッとした態度を取ったつもりだろうけど…


顔には大きく『図星』と書いてあるようで、つくづくコイツはダメな奴だと思う。


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