君は僕のもの 【続】
ただ無我夢中でそのチェーン目掛けて、手をうんと高くに伸ばす。
だけど、
あたしが高く手を上げれば上げるほどにその白井くんの手は更に高く、高くになっていってしまう。
…っ!!
どうしようもなくそれがあたしの心を荒だたさせて。
「どうして…っ!どうして、…こんなことするの?」
その伸ばしてた手をゆっくりと下げて、
ただ頬を伝う涙を拭った。
「どうして?…んなこと決まってんじゃん」
そんなあたしを上から見下ろすように言う。
「……アンタ、愛梨を気に入ったから」
「…っ?」
淡々とそう答える白井くんの顔を見つめるようにして、あたしは少し口を開いて言った。
だんだんと少しずつ距離を縮めて、
あたしの顔を覗きこむようにすると…
「簡潔に言ってやろうか?」
とニヤリ、何か裏がありそうな微笑みを向けた。
そして…
「愛梨のこと気にいったんだよね俺、
アイツ?矢上だっけ?あんなのやめて…俺の女になれよ?」
そう言い終えた後、付け加える様に『後悔させねぇよ?』と大人な笑みを浮かべて言った。
きっとこの人は…悪い事とかそういうの、いっぱい知ってるんだ。
煙草も吸ってたし、それに…
女の子に慣れてる感じするし、それにそれに…!怖い気がする。
この人、すっごく。