君は僕のもの 【続】
…樹side




わけの分からない事態から少しして、時間は昼休み。


妙に勘の鋭い早川に流されて、勢いっていうか…何ていうか分かんないけど、いつも通りに屋上。


「…何それっ!?
完璧、愛梨にロックオンじゃん!」

一通りに愛梨が翔太達に、あの…スーパーでの出来事から物事の経緯を話し終えた。


ロックオン…?

今、そういう言葉が流行ってたりするの?


ふーん……。

「だよね、つか…樹マジ大丈夫なわけーっ!?」

そんな悠長なことを考えていれば、若干興奮気味な翔太が俺の顔を覗き込むようにして言った。


大丈夫、って。


「別に」

何で俺がそんなことを言われなきゃいけないわけ?

訳が分からない。


すると面白いものを見てるみたいな顔をして早川が言った。

「ほらほら、王子、怒っちゃってるじゃん!」

なんなのこの二人。


ていうか…

いい加減その『王子』とかっていうの、止めて欲しい。

それに俺は日本人だし、何より家も普通の家だし…勝手に周りがそんな意味の分かんないこと言っても、いまいち困る。

そしたら俺の父親は王様?


…何だそれ。

それに何よりも今この状況と俺が侵されてるこの現実が、どうも俺の頭を悩ませる。

だんだんと増す、この苛立ちとも言えるこの感情は。


多分…。


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