君は僕のもの 【続】
チラリと視線を動かした時、
俺に意味の分からないことを言った早川と視線が重なった。
それに伴って俺の気分はもっと悪くなって、そのぶつかった視線の相手に対して少し苛立ちをぶつけた。
「樹…?」
そんな俺を見て不安気な愛梨が、俺の機嫌を少し窺うように…ポツリそう呟いた。
だいけど、そもそもはコイツがあの時にあんなことにならなきゃ良かったわけで…
そしたら、俺だってアイツが転校してきても…何一つ、考える必要すら無かった訳だった
りするわけで。
そう思うと更に苛々が増して、どうしようもなくなる。
「……どうすんのよ」
どうするって、何をどうするんだよ。
そう思って、
「知らない」
と不貞腐れたように言う。
すると深い溜め息が聞こえてきて、
「あの、白井くん?…相当、手強そうだよ」
手強いって何が。
何か俺って誰かとこれから戦うの?…違うでしょ。
そして何か言いたげな顔をしてた翔太が俺のことを見てから、
「…あーね、女慣れしてそうだし、それに……」
そこまで言うと、いつもの面白がるような表情が少し困ったような表情に変わったのが分かった。
きっとその『それに…』の後に翔太が言いたい言葉は、
何となくだけど、それなりに予想がつくっていうか…分かりそうな気がして。
だからこそ俺はフェンスに腰掛けて、ボーっと空を眺めてみる。