君は僕のもの 【続】




「そんなの、美菜が聞きたい感じ」

ハァッと溜め息をついてから、俺の隣のフェンスに寄り掛かるようにして早川が言った。


「でも…愛ちゃんどこに行ったんだろう?なぁ樹、」

俺に聞かれても知らないし。

「さぁ?」

妙に言い方とか、考え方とかが刺々しくなる。


分かんない、…本当にこの苛つく感じが分からない、俺の気持ちが分からない。



やっぱり何度も頭を過る“余裕”ってのが無いのかもしれない。

でも、…何に対しての余裕?


「大体あんた!もうちょっと強気になれないわけ!?!?」

と、今度は何故か俺が早川に怒られる。


「確かにな、何か樹…変だよ?」

「変って何が」

ブスッとしながら言うけど、自分でも薄々感じる変だって言葉の意味。


「本当はどこかで弱気になってんじゃないの?案外、似てないようで似てるもんね?矢上と白井くん…だっけ?」

似てるって何が?顔?声?性格?


…似てないだろ。


そう思いながらも何処か似たり寄ったりな気も、しない訳でもない。

けど似てないと思う。


「予想」

ボーっと考えてると、隣から声が聞こえる。


「予想、出来ないの?」

「…何が」


苛立ったように俺が返すと、

「何がじゃなくて…いっちゃん、考えてみなよ」


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