君は僕のもの 【続】




「…愛梨が何をしに行ったか、大体予想ぐらいならつきそうじゃない?」

その時ふと思い出すことがあって。


『ごめんね』


今日の朝も同じように何度目か分からないくらいに言われ続けた言葉。


「もう少し、優しくしてあげたら?
じゃないと取られちゃうかもよ?…王子様のお姫様」

と少し茶化すように早川は言うけど、


俺の頭はそれを上手く聞き取れなくて…それどころかもう足は動きだしていて。


勝手な嫉妬ばかりで、自分の意見ばかりを通そうとしてばっかりで、…アイツの気持ちをちゃんと考えてなかったのかもね。


どこかで思ってた。


あんな指輪いつだって買えるって。

そんなに高い物でも無いし…でも、俺があれあげた時、愛梨は泣いてて。それはいつものことだって思ってて、


けど愛梨はその日から一度もその指輪を付けてないのを見なかったし。

大事に、…してたのかも。


なのに俺は、

『なに?…そんなにほしいの?なら買う、だから黙って』


酷いかもね。


俺にはそういうの、本当によく分かんないけど、俺が言った言葉でもしかしたら何度も愛梨は傷付いてるのかもしれない。


あの日、例えそうでも俺は愛梨を手放せないって思って…

けどその気持が大きくて、自分だけのものであって欲しくて、なのに俺は傷つけて。


だからこそ初めて味わう不安。だったのかもしれない。


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