君は僕のもの 【続】
何を…されたの……でしょうか?
「な、何も…」
宙を彷徨う自分の視線をクルクルとさせながらそう言うけど、
「嘘ついたら許さないよ」
不機嫌そうな、それとも全てを知ってるんじゃないかっていうか…
その強い眼差しの先に映るのが自分だと、そう思えば思うほどに心臓が少しずつ着実に速さを増して、熱さをまして。
樹の言う『許さない』ってその一言は…
あたしにとっては凄く大きくて、全ての自由を奪っちゃう。
だからあたしは、
「抱き締められて…その、足…触った……だ…っ!!」
まだ言葉を繋いでる途中のあたしの言葉を、樹は遮る様にして抱き締めるその腕の力を強める。
…!
どんどん距離は近く近く、それで…もっともっと近くに。
「『触っただけ』?…そう言おうとしてた?」
その声が少し低くて、あたし自身が怯んでしまいそうなる。
だから縦にコクリと頷いてみると、そのあたしの顔の動きに気が付いた樹があたしの腕を掴み歩き出す。
「…え…っ…?!」
するとそのまま壁に押さえ付けられるように、背中がぴったりと壁に吸いつく。
顔の両側にある樹の手は、あたしの動きを阻止して。
近く顔を近付けると樹は怒りの交ったような表情であたしを鋭く睨みつける。…そして顎を掴むと、
「俺、前に言わなかった…?触らせるなって」
「あ、…いつ…き…っん…あ…」
あたしの言葉なんて聞く耳も持たずに思い切り唇を塞ぐ、その口付けはいつもよりは強引で、一方的で少し苦しい。
「足って…?どこ」
朦朧とする意識の中、ふと足に樹の指先が触れて伝う。