君は僕のもの 【続】
行き場を無くしたその片方の手を、樹の肩に乗せて拒む。
押してもその身体はビクともしなくて…
「良い子にしてて」
その声を発した時に太股の辺りに触れる、熱く…意識を遠のかせるその吐息。
ぞくぞくっとした感覚が通って、あたしの身体の全てを強張らせて…その部分がどうも熱くて、熱くて、どうしようもない。
苦しくも無く…
快楽でもないのは、きっとどこかで別のそれぞれの感情が溢れて流れ出ているからなのかもしれない。
「…っ…、ん…」
ザラリと生暖かく、それでもとても高い高温のモノがあたしの太股の内側に触れる。
手の平の甲で口元を覆い、声を押さえて顔を背ける。
けど…、それは下から上へと移動する。
何が何だか分からない筈なのに意外にも思考は徐々に戻っている。
「触った…の、手……だよ…ぉ?」
指の隙間から漏れる声で必死に伝えるけどその相手は聞く耳すら持たない。
それどころかその樹の触れる場所は、白井くんに触られた場所よりも徐々に上へと移動していく。
「…手ならいいってルールでもあるわけ?」
下から聞こえるその低い声にトクン…と胸が高く鳴り響く。
「そうじゃなくて…っ」
言葉を繋ごうとすれば、樹がそうさせたくないのか言葉を繋ぐことを樹は許してくれない、
…ワザとらしくチュッと音を立てて。
それがまたあたしの気持ちを揺さぶり変な気分にさせて、それだけで耳すらに感覚が渡って来る。
きつく吸うその痛みが、何よりの樹の性格そのものを表していた。
「俺はそんな優しい男じゃないよ」
と、そのまま立ち上がりあたしの頬に手を添えてそう言った。