君は僕のもの 【続】
さっき俺が思った。
態度が気に喰わないのか、それとも俺自身のことが嫌いなのか。…答えは後者の方だったらしい。
「顔と頭が良ければ世の中渡って行けると思ったら大間違いだ!!」
俺を指差して若干興奮気味に言う。
そもそも俺はドアを壊してここに連れて来られたのに、これじゃぁただこの人の俺に対する不満をぶつけられてるのと同じ。
けど不思議と苛立ちは無い。
…簡単にその理由を言うなら、全く真に受けてないからなのかもしれない。と言うのが正しい結論。
「それで…?」
だけどこのままここにずっといるのは問題だと思うわけで。
「それで、…だって!?」
「はい」
怒りに満ちたその表情を俺は少し薄ら笑いを浮かべながら見る。
正式に言えば『見下した』のが少しは正しい表現なのかもしれないけど、まぁ…今はこれでいいとして。
きっとこの人は頭が悪いから分からないんだ。
だから、
「俺はいつまでここに居れば?」
すると急に本来の目的を思い出したのか、ハッとした表情になる。
そんなこの人に、やっぱり今度は苛立ってそのまま何も言わずに部屋を後にする。
でもその前にちゃんと…
「とりあえず、ドアを壊したことは悪いとは思ってるんで」
そう言ってからそのまま外に出る。
調子に乗ってるとか…そこら辺のことに対しては謝る気も起きないし、謝る意味がそもそも分からない。
それにきっと愛梨が変な心配してるだろうから、早く戻らないと…って。
何だかんだで四六時中考えることはそんな俺を困らせてばかりの女。