君は僕のもの 【続】
今あたしの目の前にはずっとずっと自分のもとに帰ってくることを待ってた指輪ちゃん。
嬉しさと、ちょっとの驚き。
けどその指輪に手を伸ばしてすぐに指にはめた。
「うーっ!!…良かったぁ」
無意識にも頬がニンマリと笑う。
そんなあたしを見て、白井くんも笑う。
「嬉しそうだけど、そんな指輪のどこがいいの?」
机に肘を付いて、あたしを下から見上げる様にして言う。
「…これは、樹が初めてくれた指輪だから」
って…こんな危ない人に何を言ってるんだって感じだけど…やっぱり今のあたしの機嫌は最高に良くて、
きっと今ならどんな質問でも答えちゃいそう。
「初めて…ね」
ポツリとそう言ってから、その白井くんの視線をあたしではない、違う方に向く。
気のせいだろうか…?
その眼差しがどうも寂しそうに、悲しそうに見えたのは。
「…どうか、したの?」
仮にも大悪党なこの人に情けを…なんて、あたしも情に流されやすい。みたい…
「ん?何?俺の心配?とうとう惚れちゃったわけか」
クスクスと笑いながら彼は言うけど、その笑顔はどこか無機質なものに感じられて仕方が無い。
やっぱり気のせいかな…?
そう思ってもう一度だけ彼を見た時。
何だか遠くを見つめて何か別の違うことを考えてるような気がした。
何だろう…?