君は僕のもの 【続】
「だから…多分、白井くんはそこまで悪い人じゃないような気がするの」
屋上で樹とお昼休みを過ごしながら、あたしはここ何日かで思ったことを不意に口にしてみる。
けど……
樹の表情はどんどん不機嫌なものに変わっていく。
「何それ?」
嫌そうにあたしを見て、ハァッと溜め息を付いてからコーヒー牛乳を一気に飲み干した。
やっぱり言うべきじゃなかったのかな…とか思いながらも、
「だって指輪も…返してくれたし…」
とあたしが言えばその飲み干したコーヒー牛乳のパックをギュッと握り潰して、思いっきり嫌そうな顔をあたしに向ける。
その少し鋭い瞳に、グッと胸を掴まれそうになるから…危ない。
「愛梨は指輪返してくれたら良い人って思うわけ?」
その視線が痛い。
この感じの樹は完全に怒ってる時だ…
やっぱりこんなこと言わなきゃ良かったとか後悔しつつ。
「そうじゃ…無いけど…っ…」
きつい言葉を返されれば、自分の言葉に自信なんて無くなる。
「じゃぁ何?」
そんな…言い方しなくても。いいのに……
シュンとして下を向く。
「仲良さそうだもんね、何だかんだでアイツと」
鋭いその眼差しがどうしようもなくあたしの心臓を速める。
“アイツ”という部分に力が込められてるのが分かって、次の言葉が出てきてくれない。
「違うよ…違う、もん」
泣きそうになるのを堪えて、そう言うけど。
「何で泣くの?」
樹の怒りが感じ取れるその声に思わず身体をビクッとさせる。