君は僕のもの 【続】




先輩はフフッと小さく笑うと少し移動して、フェンスに寄り掛かる様にして立つ。


「白井くん…まぁー、暁はね……」

そう言ってから先輩の言葉は進まない。


「…先輩?」

あたしがそう聞くと、少し柔らかく笑って、もう一度口を開いた。

まるで何かを躊躇ってるように感じる。


「暁は昔、俺の近くの家に住んでたんだよね」

「…え?でも千葉の学校って、」


確か転校してきた日に先生も白井くん自身もそう言ってたし…つまりそれって、昔にここら辺に住んでて、それで…


「戻ってきたってことです、よね?」

続けてそう言うと、先輩は『そういうこと』と言って頷いた。


「多分、暁…愛梨ちゃんにちょっかい出してるんじゃない?」

急に話題が逸れた感じがしたけど、


「…え、まぁ……そこそこ」

嘘はつけないし。

出されてると言えばそれは本当のことだし、とりあえず。


困ったようなあたしの様子を見て先輩はクスッと笑うと、あたしがのすぐ隣まで来て…顔をただジッと見つめた。


…??

「あ…あの……っ」


急に顔を近付けられて、ましてや先輩は瞬きもせずジッと。

それに対してあたしの目はさっきから閉じたり開いたりをひたすらに繰り返すばかりで。


「やっぱり、…うん」

そう言うとさっきまでの笑ってた表情とは違って、少し真面目な…真剣な表情に変わった。



そして言った。


「似てるんだよね…“梓紗”に、愛梨ちゃんってさ……」


…アズサ?


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