君は僕のもの 【続】
その…先輩が言った“アズサ”って人の名前を聞いて、全く身に覚えもないし、聞いたことも無いからやけに不思議にな気持ちになる。
それに、似てるって……
「誰、なんですか?その、梓紗さんって」
少しだけ間を置いてから先輩が笑う。
「“奥澤梓紗”、俺と同じ2年の子だよ」
え…っ!?!?
「この学校の人なんですか!?」
ビックリしてそのまま考えも無しで質問が飛ぶ。
「ふははっ、そんなに驚かなくてもいいのに、
梓紗は俺達とは違う高校だよ?東校って分かる?ちょっと頭が良いところ」
そう言って先輩はどっかの方角を指差した。
それより東校って…樹が行こうとしてた学校、だよね?
ってことはその、梓紗さん?きっとすっごくすっごく頭が良い人なんだ…
「暁が千葉に行ったのは…ちょうど暁が中学3年の頃」
また先輩はフェンスに近付くと、そこに肘を付いて遠くの景色を眺めていた。
何だか…
凄く複雑なことを聞いちゃってる気がする、よ?
だんだんと、自分がこんな凄く深い話を聞いちゃっていいのかな、なんて思えてきちゃう。
「それでまぁー、簡潔に言えば、二人は付き合ってたんだよね」
「…へ?」
それでもって突然の話の進展ぶりにあたし自身が必要も無いのに焦ってたりする。
「けど二人は、別れた」
先輩はそう言ってあたしに気く。
「…さぁ、どうしてだと思う?」