君は僕のもの 【続】
うーん…と頭を捻って考えてみる。
どうしてだろう…?
「やっぱり、遠距離になるから…とか、じゃ?」
考えた末と言うよりは、基本的に一般論しか出ないあたしの答えはこんな感じみたい。
というか…
誰が考えてもそうじゃないのかなぁ?なんて。
「ブッブー」
と先輩は両方の人差し指を交差させて×を作って見せた。
するとその時。
「複雑で面倒なことでもあったんじゃないの?」
と感情の読み取れない声が聞こえて、振り返る。
「…樹っ!?」
「焦ってる焦ってる」
何故か急な声と登場に驚いて、反動的に出たあたしの声を面白そうに先輩は茶化す。
「やっぱりアンタここに来ると思った」
あたしの存在はまず無視で、樹はツカツカと歩を進めて先輩の前まで来ると嫌そうにチラッと見た。
「いつから…いたのよ!」
あたしがそう言うと、樹はもっと不機嫌そうな顔をして。
「結構前」
と単語だけで返してくる。
うっわー…、これは完全に完璧に不機嫌な感じだよ。
どんどん肩を竦めてあたしは少し二人から距離を置くと、どうも行き場のない視線を空中に浮遊させる。
「俺はずっといるの気が付いてたけど…愛梨ちゃん全然気が付いてないから」
クスクスと笑う先輩、それと…無表情でその先輩を見る樹。
う…、
訂正。
無表情じゃなくて睨み付ける。が正しいかも。