君は僕のもの 【続】
…樹side




『何で別れたのか』


何故かこんな奴の為に助け船を出してる俺って、…何なんだろう。


そもそもさっきすれ違った時、間違い無くコイツは屋上に向かうって思ってて…来てみれば案の定その通り。

しかも愛梨は俺が居たことにも気が付いてない。


最低だ、最低過ぎる。

なのにコイツは俺が居たことを知ってた癖して言わないし。


ムカつくな…本当に。


「その、二人が別れた原因って…?」

うっわ。

結構もしかして興味あったりするわけ?とか思いつつも黙っとく。


「まぁ大体は…そこの不機嫌な王子様の言った感じかな?」


そこの…不機嫌な……


王子様。


その言葉に苛立ちを感じてチラッと奴をに視線を送る。

「…っちょ!!そんな怖い顔しないでよ」

「樹、先輩が可哀想だよ…」


そっちの味方かよ。

やっぱりこの心の狭さをどうすることも出来なくて黙ったまま視線をそこから上へ、空に移した。


「で、それって樹がさっき言ってた『複雑で面倒なこと』ですか…?」


俺そんなこと言ったんだ。


「そんな感じ、…梓紗の家ってさ、簡単に言っちゃえば“お金持ち”って感じで」

「あーそういうこと」

と俺が言うと、


「え?樹もう分かった!?どうして?何で!?」

と目を真ん丸くさせて俺に問い掛ける。


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