君は僕のもの 【続】
俺の強い口調のせいか、それともこの温度の無い言葉のせいか。
部屋の中には微量の沈黙と気まずさが漂っている。
分かってる。
本当はちゃんと分かってる。
「何がしたいの?人助け?」
嘲笑するように言う。
コイツ最低だなって…自分自身に失望していたりしても結局はそんなの何にもならないし、何の意味も無さない。
「…そんなんじゃ…っ……無いよ…」
小さく囁くように、籠るその声の主の表情なんて見れない。
「じゃぁ何?」
「………ただ、」
それ以上に続かない言葉。
愛梨は視線を四方八方に動かして、零れそうになる涙を堪えている。
「ただ……このままじゃ二人が…可哀想過ぎるんだもん…っ」
涙声を聞いて、それで黙ったまま愛梨の顔を見る。
「本当はきっと好きなのに……っ…好き合ってたのに会えなくなって…本当は白井くんだって…まだ……」
違う。そんなんじゃなくって。
「だったら佐藤と頑張ればいいんじゃない?
…じゃ、帰れよ」
そう言って俺は愛梨の方に近付くと無理矢理に腕を掴んで立たせると、そのまま部屋の外に連れ出した。
愛梨は何も言わずに、最後。少しだけ悲しそうに俺を見て、階段を下りていった。
分かってるよ。
んなことぐらいはちゃんと……
「あーもう嫌だ」
ベッドに仰向けに倒れ込むと、手の平の甲を額に当てて…そのまま目を閉じた。