君は僕のもの 【続】




あたしにしては言ってやったと、そんな感じで。


これくらい強気に樹にも言えたら…

けど樹の場合どんなにあたしが必死になにかを言っても、冷静すぎて煽ることも不可能に近いから、
多分こうやってあからさまに怒っちゃうようなタイプのが強気になりやすいのかも。


けど…絶対、こんな人とはあたしは心臓が持たないし。

体力的にも精神的にも傷付いて終わりだろう。



「……だよ、…お前は何を知ってんだよ!!!」

その低く大きな声に身体をビクッと強張らせる。


鋭く刺さる視線と空気。


「知らないもん…っ!…知らないけど、……知らないけど、あたしにそうやってちょっかい出されるのは困るんだもん…」

スンッと鼻を啜りながらも、必死に必死に言葉の一つ一つ継ぎ接ぐ。


目頭がジワジワと…徐々に熱さを感じさせる。


「じゃぁ聞くけど、初めて合ったあたしに付き纏ったのは何で…?」

こんなに人から怒鳴られたことなんて無いし…


だからかな?

さっきから怖気づいてる。


「……それは」

言葉巧な彼も、想いと声と言葉と感情の糸が絡まり。

もう何も言えないのか…それとも言おうとすることを抑えているのか。


「止めてよ…!?そういうの!!!」

鼻の奥がツーンとする。


「…あたしが、好きなのは樹だもん、……樹だもん!樹だけなんだもん!!」

もう何が何だか分かんなくなってそう叫ぶ。


もともと頭なんて良くないから、きっと上手く冷静な話をすることも出来ないんだ。



けどあたしが大好きなのは今もこの先も樹で。

別に白井くんのことを好きだからこんなことを言ってるんじゃない…ただ、自分に似てる誰かを想って、それで重ねて。


けど何処かで捨てきれない想いを抱える彼を助けてあげたいって思っただけ。


なのに空回り。


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