君は僕のもの 【続】
奴を背にして歩いてる時、ふと自然に俺の足は止まる。
「…樹?」
不思議ぞうに横から愛梨が顔を覗きこむ。
「もしも…」
そう言ってから振り返ると、虚無感を漂わせる瞳が俺を向く。
「アンタが仮にもし、コイツに本気になったとしても」
すると少しだけ不思議そうに軽く目を見開く。
だけどすぐにその表情はいつも通りの少しだけ冷たさを彩らせる顔に戻る。
「あげないよ…?“コレ”俺のだから」
ニヤッと笑ってそう言うと、少し不機嫌そうな表情になる。
けど少ししてフッと小さい笑みを零した。
「…ホラ、行くよ」
茫然とそんな俺とアイツのやり取りを見て固まったままの愛梨の腕を掴んで歩きだす。
屋上を出て、階段を下りながら。
「あたしって…“コレ”とか“アレ”なの?」
不満そうな顔をして愛梨は俺のことを嫌そうに見て言った。
そんな愛梨を見て俺も無意識に顔が緩んで笑いそうになる。
「どうだろ?」
「な…っ!!何それ……!!!」
大きな声で叫んだ愛梨の口を咄嗟に俺は手で塞ぐ。
「…今一応は授業中だから。」
急にこんな大声出したら余計なことになるし、ただでさえ最近コイツはサボりが多から面倒くさそうなことになりそう。
とか思った。
でもそれよりも、
「帰る」
俺はそう言うと強く愛梨の腕を引いた。