君は僕のもの 【続】
「か、帰るって……ここ?」
キョトンとベッドの上に座ってる愛梨が目を丸くさせて言った。
「ん」
短くそう言うと愛梨の隣に腰を下ろす。
“─…ギシッ”
妙に軋むよね。
こういう所のホテルは。
「…ど!どうして、こういう……ば、場所に…」
どんどん言葉は小さくなって消えていく。
そんな愛梨の頬はほんのりと紅く、瞳は僅かに揺れている。
「知り合いの親がホテル関係のこと、アレだから」
「知り合いって…!!」
と、そこまで強気で言いながらも「あぁ…」と溜め息とも取れる声を漏らした。
それと知り合いと言うのは、翔太のこと。
前も言ったけど……
翔太の親はホテル業界では結構有名な人らしい。
あんまり俺は知らないけど。
「……っ!
やっぱり…恥ずかしい、よ」
紅く熟した唇を薄く開いて、下から見上げるその潤んだ瞳は、
良くない。
そんな顔をもしアイツにも見せたかと思うと…
危ない。うん。
「俺…許してないよ?」
見下ろす自分の目を少しだけ細めて、
「それに愛梨は“口”で言っても分からないし…?」
悪戯に微笑する俺の顔を愛梨が少し強張った表情で見つめた。