君は僕のもの 【続】
あたしが余計なことに首突っ込んだり…白井くんを怒らせるような事しなければきっと樹は怪我しなくて済んだんだよね。
う…ん。
「ごめんね……?」
ゆっくりと手を伸ばして指先に触れるカサつく、血の固まったような小さな傷。
「余計なことばっかするから」
「…すいません……です」
どんどん下がるあたしの頭のせいで下りた髪が顔に掛かって、それを掻き分ける様にして頬に伸びてきた大きな手。
「いいよ、別に」
クスクスっとからかうような雰囲気で笑う。
「ごめんね…って、あたし何回ごめんって言ったんだろ」
優しく笑い掛けてくれる樹に対して、フフッと小さく抑え気味で微笑むと、
「謝罪の言葉は約4回」
と真顔で言われて、
「…あ、ははは…っ」
少しだけ困ったり。
そのままあたしも樹の隣に寝そべると、そんなあたしを包み込むように優しく抱き締めてくれる。
「抱き枕…」
長い睫毛を下ろしてそんなことを平然と言うんだから…天然っていうか、何と言うか。
「あたしは抱き枕じゃ無いのに」
樹の胸に頬を寄せながら言うと、何だか落ち着く匂いがする。
けどそんな風に笑うあたしに、
『そこで笑わないで』と樹は言った。多分くすぐったいんだろうけど…?
「樹…?」
何だかこの甘い空気に酔っちゃったみたいに、
「ん?」
こんな言葉を言いたくなって。
ジッと下から見上げて軽く微笑んで、
「…大好きだよ」
少し驚いた顔をした樹は少ししてからいつも通りに余裕な笑みを零して。
「知ってる」
そう言った。