君は僕のもの 【続】
意味不明な愛梨の表情と態度。
けど不思議といつもの苛立った感じは無いから、俺にとってそこまで害な訳じゃないのかも。
「ねぇ」
買い物が終わって家まで向かうその帰り道。
隣で鼻歌なんか歌っちゃってずっと顔が緩みっぱなしの愛梨に、俺は短くもそう話し掛ける。
するとやっぱり…
嬉しそうに『なになにっ?』って。
うーん……
お互いちょっと変な気がするんだけど、何なんだ?分かんない。
「何でそんな嬉しそうなの?」
右手にさっき愛梨が買ったバレンタイン関係の、甘い物を作る時に必要なもの達が入った袋。
反対の手にはいつも通りに愛梨の、俺より小さくて細い指の手。
「…嬉しそう?か、なぁ……?」
っていうその顔がニタニタ。
「何か楽しいことでもあったの」
すると愛梨は嬉しそうに、
「あったというか……あるというか…これからというか」
どんどん小声になってくせいか最後の方に愛梨がなんて言ったのかが分からない。
あったというか…までしか現実には聞こえて無いし。
それに喋るならもっとハッキリ。
「聞こえない」
「…っま!!樹は気にしなくていいんだよ?」
さっきまでテンションが高くて嬉しそうにしてた愛梨から、何かを隠すように焦った愛梨に変わってる。
何なの…?
「ねぇ、ちょっと……っ!」
「ば、ば、ばばーい…!!!」
そう思って聞こうとした時、俺の手から愛梨の手が離れて。反対の手から買い物袋を引っ手繰られる。
…あっ。