君は僕のもの 【続】
ムカつく。凄くムカつく。
「…帰る」
そう言って立ち上がった俺の腕を奴は掴むと、そのままベンチに引き戻す。
はぁ…?
「帰ってもまだ家、開いてねぇんじゃね?」
…確かに。
だけどそのニヤッと笑う顔がムカつく。
「帰る、」
もう一度そう言って立ち上がろうとした時。
「…待った待った!」
「何」
ハァーッと長い溜め息を吐いてから、渋々もう一度、ベンチに座り直す。
大体、どうして俺がこんな奴と肩を並べて同じベンチなんかに座ってなきゃいけないのか分からない。
何より俺がここに居る理由を当てられた上に、まだ帰ってもきっと家の鍵が開いてないだろうと…当てたことも凄くムカつく。
妙にムカつき度が今日は高い。
「愛梨のこと…だけど」
そこまで言うと、ポケットに手を突っ込んで煙草を取り出すとそのまま火を付けた。
それよりも。愛梨って……
「愛梨が何?」
「えーっと、そのまぁ、悪かったなぁ~って……?」
謝る気があるのか無いのか。
知らないけど、意味が分からない。
「…は?」
俺がそう言うと、奴もいい加減苛立ったような表情をする。
「だ・か・ら!
…悪かったって言ってんじゃねぇかよっ」