君は僕のもの 【続】




「ふぅん」

適当に言ってから俺はゆっくりと立ち上がる。


「…お前さ、もっと感情豊かになれよ」

それに続くように立ち上がった白井って人に、俺はそんなことを言われる。


ていうか……

コイツ俺に何してるのかって聞いたけど、それよりもお前こそ何してんのって気がするんだけど。


ジーッと見つめながらそんなことを思うと。

それに気が付いたように、

「俺こっちの方に家があるだけ。ここから結構近ぇんだよ」


ふーん、そういうこと。

…ってだから何なの。


「へぇ…」

虚ろな感じで言うと、俺はそのまま何も言わずに歩きだしていた。

帰ろ…っかな。


「お前って『へぇ』とか『ふぅん』とかそんなんばっかだよな」

面白そうに笑いながら歩きだした俺の後を、奴は何故か付いてくる…何故か。


再びチッと舌打ちしてから立ち止まる。

「……何?」

横目でキッと奴を睨みつけると、


「別についてってる訳じゃねぇよ」

「……。」

無言のまま変な距離感を維持しながら、二人で公園の入口付近まで来て立ち止まる。


何…これ。

「じゃぁなっ」

そんな嫌な雰囲気を感じないのか何なのか…奴は普通にそう言うと、手をヒラヒラさせながら歩いて行った。


ふぅーん…

「ねぇ」

これも何故か分かんないけど俺はそう声を掛けてから、

「…愛梨にその女のこと重ねないように頑張ってね」


俺がそう言うと奴はフッと小さく笑ってもう一度手をヒラヒラさせながら歩いて行った。


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