君は僕のもの 【続】
「嫌じゃ…無いよ……?」
俺の服の袖をキュッと掴むと、求める様な目で俺のことを見る。
……え?
恥らって素直じゃない、言うならばドMの愛梨を苛めることを楽しみにしていた俺としては、その突然の発言に驚く。
「……。」
黙ったまま下にいる愛梨を見る。
というか少し軽く目を見開いてだけど……
「…どうし…っ」
“どうしたの?”とそう言いたかった言葉は遮られて、首に勢い良く腕が回されてそのまま唇を塞がれる。
唖然。
とはこういう時に言うんだと思うけど。
らしくないくらい激しく舌を絡め初めてくる、…受け身?
俺って今、受け身なのかな?
「……っ…」
必死になってるのか、余裕が無いのか。
そんな顔をする愛梨。
「…今日はどうした訳?」
唇が離れてから俺がそう言うと、愛梨はカッと顔を更に赤らめて。
「だって…今日は樹の……」
そこまで言って思い出し笑い如く。
思い出し照れ。なのか…分んないけどゴニョゴニョと何を言ってんのか全然分かんない。
…ふぅん。
誕生日、ね……。
急に顔を手で覆いながら恥ずかしがる愛梨を見て、顔が緩んで仕方が無い。
ふふふ、とか気持ち悪い心の笑い。
「頑張ったんだ、へぇ…」
指先に絡めるように髪を撫でる。
この長くて綺麗で気持ち良い髪が好き。
「可愛い」
思わず零れた本音。
それだけで顔を赤らめて照れるその顔も好き。
あんまり人にありがたいなんて思わないけど、…今日は、少しだけ。
「ありがとう、愛梨」
チュッと瞼に振らした甘いキス。
今日は長い夜になりそう。