君は僕のもの 【続】
「ふーん…こんなもんなんだぁ」
─ガラガラッ
そんなことを独り言のように呟きながら廊下に一歩踏み出した瞬間。
下に向けてたあたしの視線の先に…足?
大きさ的に男の子、かな。
そう思いながらどんどんと上に顔を上げていく。
…そして。
だんだんと青ざめていくあたしの顔。
一番上まで見るのが怖くなって横に顔を動かすと、バツの悪そうな顔をした美菜。
それと少し不機嫌そうな翔太くん。
あぁ……、やっぱり!!
頭を殴られたみたいな感覚になって、チラチラと視線を動かす。
「“用事”は済んだ?」
無機質の表情で樹は言うと、あたしの腕を掴んだ。
な…な!!
返す言葉が無くって口をパクパクとさせてると、
「オツカレサマ」
と棒読みで返された。
「…あ、あー……」
言葉が続きません。はい…ごめんなさい。
心の中のあたしは、もう泣きそう。
「どーせまた美菜に吹き込まれちゃったんでしょ?
…ごめんね、愛ちゃん」
「な!なにそれ!?」
「あ゙ぁーーッ!!!!!」
美菜はそう言うと、勢いよく翔太くんの脛を蹴っ飛ばしてズカズカと歩いて行ってしまった。
こ…困るよぉ…!!
少しずつ小さくなる背中に助けを求めるかのよう。
すると急に顔を目の前に向けさせられる。
「……ハハハ…」
誤魔化すように笑ってみたけど、
失敗。