君は僕のもの 【続】
あまりの大きな声に片目を瞑って、押し当ててる耳とは逆を塞いで首を振った。
「…っ……声、大きすぎるよぉ…」
もう勘弁してほしいと言う様に、あたしの声は小さく呟かれた。
『あーごめんごめんっ!…そうそう、それでアンタが遅いからあたし勝手に作っちゃったよ?チョコーー』
何か今日の美菜…少しだけどテンションが高いような気がする。
もう一時間程で迎えることになる“バレンタイン”っていうイベントに掛けてのことなのかもしれないけど……
って!!!
「あ、あたし…何の準備もしてないよぉ!!!」
『あーー!声デカいんですけどっ』
「…ご、ごめん…」
ついさっき人に指摘したことをたった数十秒で指摘されてるあたしって…学習能力が無いような気がする。
けど、今はそんなことよりも気が付いてしまった現実の対処法を考えなくちゃ……
「ど…ど、どうしよ」
とまたまた弱気なあたしが出現する。
でもあたしって、基本的に弱気なような気がする……カモ。
『どうしよじゃないでしょ~?材料とかあるの??』
「一様…樹の誕生日の時にケーキ作るから、一緒に買って用意はしてたんだけど、さ?」
こんな時。
いつも抜けてる自分の意外な用意の良さに安易の溜め息が漏れたりする。
良かったよぉ…よかったぁ。
胸に手を当ててフゥと。
『何つくるのー?』
「えっとぉ…えー……うん、」
枕に埋めてた顔を天井に向けて毛布の中に潜り込む。
改めて聞かれると何だか少し気恥ずかしいんだ…よなぁ、ってあたし何言ってるんだろう。