君は僕のもの 【続】
「…ん……んんっ…」
薄く開いた目の隙間から入る太陽の光。
何だかんだで慣れない夜更かしのせいで瞼が少しばかり重いような気もする…
結局あの後も美菜に言いたい放題“料理”について言われ続けて、それで気が付いた時には美菜からの声は聞こえなくて…
勝手に寝ちゃったんだ…みたいな。
ふと起き上がった時、ベッドの下に読みかけの雑誌が落ちてて…
そう言えば【生チョコ】について勉強してたんだっけ。
と思いだした。
そのまま少し冷えてる床に足を付けて、雑誌に手を伸ばす。
生チョコって難しいかなぁ……?
けどきっと美味しいだろうし、でも樹…食べてくれるかな??
甘いもの嫌いだもんね、うん。
考えるとクリスマスも誕生日もバレンタインも…昔は樹のことなんて考えもしなかったからなぁ…
だから少し気恥ずかしい。
でも、こういう気持ちに気付けて…樹と恋人同士になれて、良かったな。
なんて思ったりもするよ。
枕元に置いておいた携帯のディスプレイを確認してからカーテンを開ける。
「うぅーん、朝だぁ…」
間の抜けた声と欠伸。
向かい側にある樹の部屋のカーテンは閉まったまま。
やっぱり今日は休日だし、樹はまだ寝てるのかもしれないな…
そんなことを思いながら部屋を出て階段を降りる。
雑誌を胸に抱きながら、少し浮かれた気持ちを胸に秘めて緩む口元を抑えつつ。