君は僕のもの 【続】
買ってきた材料を並べて雑誌を立て掛けて。
昔から使ってる変なキャラクターがプリントされてるエプロンを付けて、もう何度目になるか『よしっ』と繰り返す。
「…大丈夫なか?」
冷蔵庫にお茶を取りに来たお父さんが少し心配そうな顔で言う。
「だ、大丈夫!!」
と必死にあたしは答えた。
少し心配そうな面白そうなものを見る様な眼でお父さんはあたしとその材料を見ると、そのままリビングでテレビを見始めた。
フゥ…っと深呼吸。
何でたかがこんなことでって思うけど。
これがまた緊張するもので。
「まずは…チョコを細かく刻む…と、よしっ」
そしてあたしは生チョコ作りに取り掛かった。
「おー!上手に出来たじゃないかぁ」
お父さんのその言葉にニコニコ微笑んで、嬉しさを抑え切れない。
「形はうーんって感じだけど…味はいい感じでしょう?」
緩みっぱなしの顔。
けど珍しく上出来に作れたモノにだいぶ浮かれてる。
部屋にある時計に視線を向ければ、時刻はもう午後4時過ぎ。
ポケットに入ってる携帯に手を忍ばせてリダイヤルから樹の名前を探して電話を掛ける。
プルルル…プルルル……。