君は僕のもの 【続】
インターホンを押して数秒。
中でバタバタと足音が聞こえて、少しだけ顔が緩む。
…樹いるかな?
もし居なかったら、とりあえず渡しておこう。
そんなことを考えていた時、玄関のドアが開いてニコッと微笑む表情のままその方を向いた。
けど。
「………え…?」
思わずあたしの目は大きく見開かれて、口も開きっぱなし。
とにかく“驚き”っていう感情でいっぱい。
「やぁ!久しぶり~~っ」
人懐っこい笑顔に軽いこの独特な口調。
樹より高い背に大人っぽい雰囲気。
でもやっぱり似てるのは…その大きな猫みたいな目。
「ひ、…響さん!!帰ってたんですか!?!?」
「うん。ホームシックになっちゃってさぁ~」
と玄関の壁に寄り掛かって、あたしに軽くウィンクをする。
…っう!!
樹と似てる声とその顔でそんなこと言われてされてしまうと…不謹慎だけど心臓が大きく跳ね上がる。
「ホームシックですかぁ」
クスクスと笑いながらそういうあたしを、響さんは優しい眼差しで見つめていた。
「ていうか寒いでしょ?入って入って!!」
そう言うと響さんはあたしの肩を抱いて家の中に招き入れてくれた。
「……あ、ありがとうございます」
高い位置にある響さんの目を見て言う。