君は僕のもの 【続】




少し低めの不機嫌そうな声が聞こえて振り向く。


「…い、樹!!」

「あー失敗失敗」

クスクス響さんは笑ってあたしと樹を交互に見る。



樹はと言うと…

深い溜め息を吐いて、あたしの側まで来るとあたしと響さんを引き剥がすように腕を引いた。


「いい歳して何してんだよ」

とだいぶご立腹の様子。


「何って?愛梨を可愛がってたんだ……痛っ!」

平然と答える響さんの足目掛けて、樹の足が飛ぶ。


それでも響さんは相変わらず笑ってて『痛いだろ~』と緩い雰囲気を忘れない訳で。


変わってない…なと思ったり。



「ま、まぁまぁ…!
響さんってこういう悪ふざけよくするし、大丈夫大丈夫っ」


って何が大丈夫なのか分からないけど……

不機嫌な樹の機嫌を戻そうとあたしは必死になる。


「愛梨は優しいなぁー」

「黙れよ、つかお前だろ俺の携帯持ってるの」


え??

…携帯?


するとニヤニヤと笑いながら。


「ほぉー?」

と響さんは言う。



「ていうかアンタ今日予定とか無いの?帰れよ」

「いやー…、俺いま彼女とか居ないし、それにアパートに帰ったら女の子達がいっぱい来ちゃって困るんだよねぇ~」

「だから何なんだよ…」

「分かんないのー?愛梨に愛してもらおうかなぁ?って」


……。



するともう一度、樹の足が響さんの足に命中する。


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