君は僕のもの 【続】
「だから?ていうか愛梨に近付くなよ危ない」
「ふふーん…“お兄様”はそんな危ない人に見えちゃう訳かぁー」
「……。」
「でも俺は純粋に愛梨を可愛がってるってのに…あんまりだなぁ」
「ウザ。」
この二人が仲良く“兄弟”としての雰囲気を醸し出したところは…今のところ見た記憶が無いような、有るような、無いような。
そこら辺は無しとしてね……?
この二人は実は兄弟だったりするの。
樹のお兄ちゃんが響さん。
響さんは今年で21歳になる大学生で、今は遠くの方の大学に通ってて一人暮らしをしてるんだけどね?
性格は全くの正反対。
どちらかと言うと色んな事に無関心で冷めた性格の樹に対して、響さんは楽天家で恋愛のことに関しても…軽い。
若干凄く軽い性格んだけど、たまに真面目な雰囲気も出すから。
ちょっと不思議な人。
そう考えるとどっちも不思議な気がするけど……
「可愛くないなぁ、樹は」
「可愛かったらおかしいだろ」
相変わらず棒読みの返事しか樹はしないけど、普段の樹と比べると…やっぱり長く話してるのがよく分かる。
つまり結局は、似た者同士なんだろうね?
再びクスクスと笑ってると、
「だから何笑ってんの?」
不機嫌そうな樹の声と表情。
「…じゃぁ、俺は下に行って何か食べてこ~よ~」
そんな樹を流し目で見てから、あたしの頭をポンポンとすると柔らかく微笑んだ。
そして『またね』と響さんは言って部屋から出ていった。