君は僕のもの 【続】
【こっち来れば】
真っ白な背景に『。』も『?』もないそのまま。
“Fromm”のところの名前はちゃんと樹と表示されてて、携帯は返して貰ったんだ…なんて安易な考えを浮かべた。
「…ていうか、……隣の部屋じゃんかぁ…」
画面を見てムッとそう言い放った。
でもその表情はあっと言う間に緩んで口元がニヤケる。
何だかんだであたしは樹のこういう部分が嫌いじゃ無い…ていうか、素直じゃ無い所も含めて結局は好きで。
あぁいう、少し自分勝手なところも……
好きで。
って…っ!!
両手を口に当てて一人で赤面する。
あ、あ…あた、あたし何一人でこんなこと考えちゃってる訳!?!?
「危ないのはあたしじゃない…」
頭と頬と耳がどんどんカァーッと熱くなって堪らない。
こんなことばっかり考えてちゃいけない!!
……あ、あたしは、今日はちゃんと目的があって来たんだから…っ!
そう、だよね…
「よし…よしっ!」
そんな頭の中のモヤモヤを消したくて首を左右に何度も振ると、勢い良く立ち上がってそのまま部屋から出ていった。
コンコン…。
「……。」
「…い、樹?」
う、声が裏返っちゃたよぉ……