君は僕のもの 【続】
…愛梨Side




耳元で言われたせいかカァーッと熱が頭からつま先まで伝わっていく。


ちょっと反応は微妙だったけど…

樹が食べてくれた事がやっぱり凄く嬉しくて。



いつもあたしが食べてるお菓子とか、そういうの『食べる?』なんて言ったって『嫌だ』とかしか言わないのに…

『いらない』のがまだ良い言い方だよね。


だけどやっぱり悲しくて。

何だか難しい気持ち。


けどそんなの樹の行動とか言動一つで全部が180度変わって…何だか踊らされてる気分。


ドキドキするよ…

近付いた顔と顔、スッと掠る樹の前髪。


「俺の為に作ったんでしょ?」

思わず身体が少し後ずさって、あたしに覆いかぶさる様に樹がいる。


見上げる先に端正なその顔。

大きなその瞳に吸い込まれて…あたしの心の内を全部読まれてちゃうよぉ。


「……う、…うん…」

ギュッと目を瞑って縦に頷く。


「じゃぁ作った愛梨にもコレを取る権利、無いよね?」

ニヤリと笑うその得意気な顔。


あたしの知ってる樹の余裕全開の時の顔だ…


「…まぁ、確かに凄く甘いけど。」

更に更に近付く。


思わずキスを期待してしちゃうあたしの唇はふるふると震えて、少しギュッと詰むんでしまうから。

……っ。


「美味かったよ」

クスッと聞こえる声。


そんな近くで…

それだけであたしの胸は張り裂けそう。


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