君は僕のもの 【続】
「…ん、」
早くしろと言わんばかりの催促。
みるみる近づく唇も、大きな瞳も長くてクルンとした睫毛も…何かズルイな、女の子よりも綺麗な顔。
ムッとなりそうなぐらい整ってる…。
「う、うぅ…」
熱くて仕方ない顔を俯かせて、ホラと樹が差し出した箱の中に手を伸ばす。
不格好で、きっと『美味しそう』なんて思われ無さそうな…あたしの作ったソレをあたしは一つ取る。
手にココアパウダーがたくさん付いちゃった……
チラッと見上げると得意気な表情。
「…口、開けて?」
生チョコを一つ摘まんだまま樹の口元に持っていって言う。
けど樹は全く口をちゃんと開こうとしてくれなくて…
「それじゃぁ…食べさせてあげられないよ。ちゃんと口…開けてよぉ」
やっぱり樹の考えてることは謎だらけで、
今だってこうして樹がさっきの得意気な表情からこんな不機嫌で納得のいかなそうな顔になっちゃったのか…全然分からない。
……。
「嫌だ」
そんなことを考えてると、不満そうな声で樹は言うと…あたしの唇に人差し指を押し当てた。
ん…っ?
目を真ん丸くさせて驚くあたしを見てクスリ。
「手じゃ無い、クチ」
顔を傾けたせいか前髪がサッと目に掛かって…隙間から見えるその大きな、それでもって色気全開の瞳。
ドクン…っ。
心臓が止まっちゃいそうになる。