君は僕のもの 【続】




見られてると……出来ないよぉ…。


震える唇。

ほんのりと口の中に香るチョコレート。


目の前で全く恥じる様子も無い彼は普通の、普段通りの雰囲気のまま堂々と目を開けてあたしを見ている。



…ワザとだ!!


こうやって恥ずかしがるあたしを見て楽しんでるんだ…!



けど。

分ってはいても恥ずかしいものは恥ずかしい訳で。


「ねぇ」

なかなか行動出来ないあたしに痺れを切らした樹の声。


わ、分かってるよぉ…!



もうこうなったら…えぇーい!!

ギュッと目を瞑って樹の唇に自分の唇を近付ける。


「……ん、上出来」

クスッと聞こえたその声に安易の溜め息を零そうとしたその時……


「ねぇ、愛梨も食べたくない?」

「…は、はい…っ?!」


同時にドサッと倒れる音がして…っていうより、倒されたのは他でもなくあたしで。



な、な…ななな!?!?


「口開け」

命令口調なその命令にあたしはびっくりして…


口開け?え、え…??



あいにく頭の回転の遅いあたしはこの状況が全く掴めずただ、なすがまま。されるがままの…そんな感じで。


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