君は僕のもの 【続】
何も考えてないような顔してたけどいい加減、俺も気持ちが顔に出てくる。
「……、」
「俺、帰っていいですか?」
と言うと、先輩は何だか物欲しそうな顔をする。
でもそんな顔をされても俺は何も感じないし…ていうか何をしてるの?ってそんな話。
「待って、…あの、」
しつこい。
「愛梨しか興味無いんです、俺」
チラリと視線を先輩に向けて横目で見るような感じ。
そして俺はそう言う。
「どんなにアンタが俺に何かしても無駄…死んでも無駄」
すると先輩は真っ赤な顔をする。
そしてふと思い出した。
どうして駒川先輩は俺といつも一緒に帰ることになっていたのか、…結論は偶然でも不審者が原因でもなく。確実な確率で故意的なものだったらしい。
そう思うと何か、もっと早くに対処しておくべきだったと思う。
そしたらこんな寒い中、外にずっと立ってる必要も、わざわざ送っていく必要も無かった。
無駄な労働力。
「俺にとっての一番は、全部アイツだけなんで」
こんなセリフ、愛梨にもなかなか言わないんだから少しは有り難く思って欲しいね、本当。
先輩に再び背を向けると俺は歩き出す。
…あ、
俺はふとあることを思い出して立ち止まると後ろを振り返る。