君は僕のもの 【続】

惑わす匂い

…愛梨side




「ちょっと!速い速い…っ」

後ろから聞こえる美菜の声でハッとすると、その場に立ち止まった。



あたし…

出てきちゃったんだ、喫茶店から。



樹怒ってるかなぁ…?


無視。しちゃったしなぁ…


「…っちょっと本当に!
急な行動、多すぎるでしょ…今日は本当に」

と“本当に”を二回も未菜は使って言ったから。

本当に、本当に美菜に悪いことしたかも…しれない。



「ご、…ごめんね」

立ち止まった状態のままそう小さく隠るように呟くと、
ゆっくり後ろを振り返ってみた。


何だか今の自分の顔が想像出来てしまうから、あたしはこんな失敗をよくするんだな…

なんて、…再確認。



「別に大丈夫だけどさ、…それよりも愛梨は?」

「あたし…?」


ポカンと口を開いたままあたしはそう言って首を傾げる。



「そうだよ!…あの女、気になんないわけ!?

っていうよりも、愛梨の心配のが大きいけどね?あたしは…まぁ、それなりに」


「あ…、う…うん」


そして何故か弱気な自分。


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