君は僕のもの 【続】
フイッと顔を逸らすようにして樹の手から逃れると明後日の方向を向く。
それでも樹はあたしを小馬鹿にしてるような表情をしてる。
「もの?…さぁ、どうだろう」
ワザとおどけてあたしをからかう。
「いいよもう」
結局は拗ねて一人で歩きだす。
樹の横をフンッと言いながら横切ろうとした時、不意に腕を掴まれてそのまま抱きすくめられた。
大好きな樹の香りが広がる。
そのまま無言でただこの状態が続いて。
いくら今の時間、人が居ないからってこんなの恥ずかしいよぉ…
そう思って身を捩ると耳元でボソッと聴こえた、
「……でしょ」
「え…?」
そしてもう一度。
「愛梨は俺の“もの”でしょう?
何よりも大事な所有物だよ、俺の私物」
「……。」
困ったなぁ。
この人は全く困った人だよ……
大切な彼女を“もの”呼ばわりするし、勝手に自分の物とか言っちゃうし。