君は僕のもの 【続】
本当、あの喫茶店に入らならければ…
こんな気持ちにならずに誕生日を迎えてたんだろうな。
その方が良かったよ…多分。
「…でも、
駒川琴音ってどっかで聞いたことあんだよなぁ…」
と美菜は視線だけを上に向けてから少しばかり顔を傾けた。
「聞いたこと…あるの?」
「うーん、覚えてないけど…覚えてるけど、どうなんだろうか」
再び美菜は首を傾げてうーんと腕を組みだす。
あたしは全く“駒川琴音”なんて名前は聞いたことないから、
どう反応していいか分からなくて、ポカンと口を開いたままになってしまっている。
「だけどさ…綺麗な人だったよねぇ〜、本当に本当に」
「え、なに弱気になってんのーっ!?!?
あれだよあれっ!愛梨に足りないものは自信だけだよ、充分なくらい愛梨は可愛いし?」
これは美菜なりの慰めなのかなぁ…
そう考えると、今のあたしってそんなに哀れだったりしちゃうの?
あーあ、
「とにかく矢上は愛梨一途!これは確実!!」
シラーッとするあたしの目の前に来てガッツポーズをすると、大丈夫と何度も何度もあたしに言った。
「うーん…」
けど心此処にあらず。って感じなのかも。